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スマートロガー導入事例:三芝硝材株式会社

三芝硝材株式会社 画像

ムダを排除するのではなく、「価値の高い作業に集中する」改善活動を見出すため、作業者の実績内容と時間を自動集計しリアルタイムにデータ化するスマートロガーを導入しました。

三芝硝材株式会社でのスマートロガー導入の経緯と効果について、三芝硝材株式会社 第一製造部 部長 舟瀬 憲秀氏および、スマートロガーの共同開発会社である旭硝子株式会社(以下、AGC旭硝子)の資材・物流部 高橋 正人氏に詳しく伺いました。

スマートロガーとは? AGC旭硝子 高橋氏 近年、製造業をはじめ多くの企業では、ICT技術を活用した生産性・品質の向上への取り組みが加速。世界トップシェアを誇るガラス事業とディスプレイ事業、化学品事業を中心に電子部材事業などをグローバルで展開するAGC旭硝子でも、現場の生産性向上を目指した改善活動を推進しています。 その取り組みを進めるなか、AGC旭硝子は製造業向けの豊富なICTサービスを展開するシーイーシーと連携を強化。そこで共同開発したのが、従来までは時間がかかっていた作業動態のデータ収集を短縮するソリューションのスマートロガーです。 作業者がスマートウォッチを装着し、作業開始前にスマートウォッチを工程ごとに設置したビーコンに近づけるだけで作業実績(作業内容・時間)を自動集計するのがスマートロガー。位置情報や作業者の動作情報をきめ細かく収集・デジタルデータ化することで、「熟練作業・ノウハウの蓄積」「作業者のバラツキ解消」「ムダのない作業順序や最適な動作」に向けた改善活動に取り組みやすくなり、生産性向上や不良品発生原因の対策にもつながります。

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国内トップクラスの技術でガラス建材を生産

質問御社の会社概要をお聞かせください。

答え当社は昭和32年創業のガラス加工・販売会社です。創業当時は主に自動車用窓ガラスの製造に携わり、フロント・サイド・リアなどすべての窓ガラスを手掛けていました。純正品の窓ガラスのほか、補修用の窓ガラスも展開し、窓ガラスが壊れやすい中近東への輸出が好調に推移していました。
為替相場が変動制となってからは輸出部門を縮小し、ガラス建材の分野に大きくシフトしていきました。熱線反射ガラスや網入りガラスなど、機能性と洗練されたデザインのガラス建材ブームを牽引し、時代にマッチした合わせガラスを提供できたことで業績が大幅に伸び、現在に至ります。
ガラス建材としては「合わせガラス」「複層ガラス」「強化ガラス」「曲げ強化ガラス」「生曲げガラス」の5つをラインアップ。それらは、日本最大の合わせラインと大型強化炉、日本最大級の大型スクリーン印刷、さらに日本初のオンデマンドセラミック印刷など、当社独自の設備、特殊技術から生み出されています。そんな当社の技術力を各方面から評価いただき、現在は官公庁や公共施設、高層ビル・マンション、個人宅など、あらゆるシーンで活躍するガラス建材を受注生産によって製造・販売しております。

図当社は「創意無限」を理念とし、建築・インテリア・産業用の広い分野で新しいデザインガラスを製造し続けてまいります。なお、東京日本橋には三芝硝材株式会社/グラスキューブ株式会社の総合ショールームがあり、「滑らない床ガラス」「光床システムガラス」「中間膜ダイレクト印刷ガラス」「デジタルセラミック印刷ガラス」「天然石透過ガラス」などをご覧いただくことができます。

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作業者のデータ収集・分析の高速化に課題

質問御社では何を導入されたのでしょうか。

答えウェアラブル端末のスマートウォッチを活用して工場の労働生産性向上につなげる、シーイーシーの作業動態分析ソリューション、スマートロガーを2016年8月に導入(詳細は「AGC旭硝子 高橋 氏による解説『スマートロガーとは?』」を参照)。昨年末から本格的に稼働させて分析および改善活動に役立てています。

質問スマートロガー導入に至った背景を教えてください。

答え当社の製造部門は業務の効率化、生産性の向上、コスト削減を目指して常に改善活動に取り組んでいます。改善手法にはIE(Industrial Engineering)分析を用いて工程分析、動作分析、稼働分析などを行い、改善活動につなげています。
しかし、分析に至るまでのデータ収集に課題がありました。それはデータ収集にかかる時間です。分析は製造ラインに定点ビデオカメラを設置し、その動画をもとにして行う手法を取っていましたが、2時間くらいの作業に約8時間もの分析時間を要していました。さらに、ビデオカメラのセッティング、動画データの収集にも時間がかかります。
そもそも当社の生産工程は「切断」「磨き加工」「穴あけ加工」「強化熱処理」「合わせガラス」「複層ガラス」「検査」など、およそ30もの工程があります。すべての工程を同じタイミングで分析することは、リソース的に不可能。ビデオカメラの手法では、分析を終えて施策を思案している間に生産の大半が終わってしまいます。
いま生産している製品の工程に対し改善の施策を行うには、「いかに素早く分析のためのデータを収集するか」が求められるのです。なかなか良い方法が見当たらず、頭を抱えていたところAGC旭硝子(旭硝子株式会社)の高橋様から「データ取りが楽になる」とご紹介いただいたのがスマートロガーでした。

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「合わせガラス」の工程でスマートロガーを活用

質問スマートロガーをどのように活用されたのでしょうか。

答え「合わせガラス」の工程を例にお話しさせていただきます。4ラインある「合わせガラス」は、ライン毎に人数・生産サイズが異なります。 1ライン全員がスマートウォッチを装着し、自分の作業を開始する際にビーコンでチェック。作業時はそれを繰り返します。収集したデータは全体および個人別に一日の作業内容の時間集計、その作業別比率、行なった時間帯分布をグラフで分類しました。

合わせガラスライン図

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手間なくデータをリアルタイムに収集できる

質問スマートロガーを活用した感想をお聞かせください。

答え「いつ」「どこで」「だれが」「何を(どんな作業を)」「何分行ったか」がリアルタイムで収集されるため、すぐに分析のフェーズに移行することができます。しかも、手間がありません。ビーコンに近づけるだけでスマートウォッチを読み取ってくれますから、作業の中断は不要です。そして何よりも、新たな改善点を発見することができました。

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積層の工程を4名から3名に省人

質問スマートロガーによって発見できた改善点とは。

答え「合わせガラス」の工程では、一日あたり10~12回のジョブチェンジ待ち・段取り待ちがあることが分かりました。ジョブチェンジや段取りごとに待ち時間が発生するのは仕方ないとしても、待ち時間が長くなるのは改善の余地があります。そもそも、ジョブチェンジや段取りの回数を減らす施策もしなければなりません。
ジョブチェンジ待ち・段取り待ちは、これまでビデオカメラによる分析や作業日報からでは詳細までは分かりませんでした。
「いつ」「どこで」「だれが」「何を(どんな作業を)」「何分行ったか」を円グラフや時系列グラフでレポートしてくれるスマートロガーだからこそ分析できたと考えています。
この分析をもとに改善の施策として行ったのが、積層の工程を4名から3名に省人することでした。ただし、省人はムダの排除ではありません。「いかに価値の高い作業に集中するか」を検討し、行き着いた先の工程再編成なのです。以前から4人で行うが当たり前の工程だったため、これまで3名で行う発想がなかったのですが、スマートロガーは我々に“気づき”を与えてくれました。

質問工程再編成による成果はあったのでしょうか。

ライン一人1時間当たり生産量答え「合わせガラス」工程のライン1人1時間あたりの生産量は、改善前の2016年1月~12月と比べて平均11.7%と大きくアップしました。
「合わせガラス」工程以外、およそ30工程の中で実際にスマートロガーによるデータ収集を行ったのは現在まで15工程。さらに、その中で改善を実施し効果が出たのが4工程あります。今後は、さらにスマートロガーを活用して分析と改善活動に取り組んでいく予定です。

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作業者に改善という意識が芽生える

質問スマートロガーをどのように評価していますか。

答え以下の2点において、スマートロガーは高い価値があると判断しています。

三芝硝材株式会社 第一製造部 部長
舟瀬 憲秀 氏
<分析・改善活動に多くの時間を使える> スマートロガーは、分析するために必要な情報を素早く収集し、データをグラフ化して見せてくれるツールです。実際の分析や改善活動は我々で考えなければならないのですが、データ収集や分析に時間をかけるのではなく、分析結果を見て何か新しい気づきや改善活動に時間をかけることができるようになったことは大きな進歩といえます。 <作業者の意識改革> スマートロガー導入前は、データ化・分析に時間がかかっていため、どうしても改善活動が遅れがちでした。改善が伝わらなければ、作業者は単なる作業工程として漠然と取り組んでしまいます。ところが、スマートロガーは行った作業が翌日にはデータ化されます。自分の作業がすぐに数字やグラフで見えるわけですから、自ずと作業者は改善という意識が芽生えます。
作業者は生産性を考える取り組み方に変わり、作業者自らが作業方法の工夫、変更などに取り組む姿勢が見えてきました。実際、社内改善提案制度の提出件数が2倍に増えた作業者もいるほどです。

質問スマートロガーの導入に対し、作業者の抵抗はなかったのですか。

答え抵抗はありませんでした。むしろ最新のウェアラブルに興味を持つ作業者が多く、スマートウォッチの装着にも抵抗はなかったようです。また、人は見られていることに過敏で、よく見られようとする傾向があるため、間接的にでも“見られている”という意識を生み出すスマートウォッチは効果的。この意識が前述した<作業者の意識改革>にもつながっていると考えられます。

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営業とカスタマー部門でもスマートロガーを活用

質問工場以外でもスマートロガーを使っているとお聞きしましたが。

答え以下の業務でもスマートロガーを活用しています。

<本社玄関・ショールーム前にて>
三芝硝材株式会社 第一製造部 部長
舟瀬 憲秀 氏
<営業部門> パソコン業務や電話対応、外回りなどの営業業務においてスマートロガーを活用。現在もデータ収集を継続しています。 <カスタマー部門> 電話応対、接客対応、受注処理、工場とのやり取りなどカスタマー業務を担当する部門にスマートロガーを活用。電話においては「応対時間」のほか、「どのような電話が多いのか」「かけるのが多いのか」「かかってくるのが多いのか」などを細分化し分析しています。 スマートロガーの機能や性質、使い勝手を考えると、工場だけに限定するのはもったいないと考え、実験的ではありますが、営業とカスタマーの部門で活用しています。目指すのは工場の工程と同様に「いかに価値の高い作業に集中するか」です。まだ、分析段階で改善活動のフェーズには到達していませんが、良い改善活動ができると今から期待しています。

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シーイーシー側からの改善提案を期待

質問スマートロガーへの要望があればお聞かせください

答え現在、収集したデータはサーバーに蓄積されるだけですが、すぐに作業者へフィードバックできる仕組みがあれば、より改善活動への取り組みが加速すると考えています。例えば、スマホやタブレットでデータをリアルタイムに参照できると良いかもしれません。すでにWi-Fiの環境は整っていますから、システムはすぐに構築できるのではないでしょうか。
また、工場の場合、職人気質がある年齢が高い層は、スマートロガーのようなITには嫌悪感を覚えてしまうようです。そういう意味では、もっと誰でも使える直感的なインターフェースや、ユーザーフレンドリーな画面などの対応を求めたいところです。

質問最後に今後、シーイーシーへの期待をお聞かせください。

社内写真答え当社だけの分析や改善活動は、どうしても偏ったベクトルになりがちです。我々だけでは気づかない点も必ずあると思っています。改善活動の取り組みには多方面からの気づきがほしいので、ぜひシーイーシーの視点でのアドバイスを期待しています。
さらに今後、スマートロガーが普及していけば、シーイーシーには様々な企業の分析と改善活動がナレッジとして蓄積されていくのではないでしょうか。当社としては、ぜひ、そのナレッジをフィードバックしていただきたい。もちろん、当社の分析や改善活動もシーイーシーのナレッジとしてお使いいただいて構いません。単にアドバイスだけでなく、ナレッジをベースにした改善活動の提案もシーイーシー側からいただけるとありがたいと考えています。今後とも当社の支援をよろしくお願いします。

取材日:2017年8月

※所属組織、業務内容、写真、インタビュー内容は取材時のものです。

三芝硝材株式会社様

  • 創 業: 昭和32年8月
  • 本 社: 〒933-0974 富山県高岡市岩坪23-2
  • 代表者: 代表取締役社長 西 英夫
  • 従業員数: 220名(2015年現在)
  • 資本金: 4,875万円
  • 事業内容: ガラス加工・販売
  • URL: http://www.sanshiba-g.co.jp/
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