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3「全体最適」と「自分最適」

Columnist

小松 隆氏
株式会社日通総合研究所

株式会社日通総合研究所
経営コンサルティング部 部長 主席コンサルタント
小松 隆氏

東京都出身。1984年横浜国立大学教育学部卒業。
同年4月(株)リクルート入社。同社情報誌物流全般の統括責任者として、輸配送ネットワークの構築・物流作業の効率化・コストダウン施策の提言・実行等に従事。その他、通信販売におけるフルフィルメントサービスの企画・運営、個人情報管理統括、コールセンターの運用管理などの実績を積む。2005年7月に株式会社日通総合研究所へ入社。日本郵政グループのロジスティクス改善プロジェクトなど、大手クライアント向けのロジスティクス最適化プロジェクトにてプロジェクトマネージャーを歴任。

筆者は、プロフィールにもあります通り、もともとは荷主側の発注責任者を担当し、その後、現在の日通総合研究所にてコンサルティング業務に従事しております。そうした経験に基づき、これから数回にわたり「荷主側が意識すべきこと」「コンサルタントの立場から見る物流改善のポイント」などについてお伝えします。

第1回目の今回は、「全体最適」と「自分最適」がテーマです。

小松 隆氏

低コスト・高品質の実現に向けて ~物流改善のポイント~

ここ数年、荷主企業側から物流改善・改革を行なう上で「全体最適」という言葉が使われることが多くなってきています。企業が複数の事業を展開している場合、その事業に合った物流体制をとることが多く、結果として各事業部門単位で物流組織が存在し、それぞれの部署で物流業務を運営・管理しています。物流担当は、多くの企業における物流担当としての命題である「低コスト・高品質」を求め、自ら所属する事業部門の物流業務等に関して、日夜、見直しや改善に取り組んでいます。

改善の中で培われたノウハウやリソースは、所属部門内でクローズされ、他の部門と共有されることは多くありません。グループおよび全社など「全体」という視点から見ると、こういう状況は「部分的」または「個別」と評されています。しかし、一概にこの状態を責めることはできません。担当者にとっては、所属部署における担当業務の効率化等によるコストダウンおよび品質の向上が、自分のミッションだからです。所属部門における物流の最適化を図る行為を筆者は、「自分最適」と呼んでいます。

しかしながら各部署による「自分最適」にも限界があります。企業を取り巻く状況の変化から事業統合・M"Aなど企業の体系自体も変化します。ある企業では、企業合併の結果、2つの物流センターが隣接する、などというケースも出てきています。企業とって保有するすべての物流機能の効率を高め、他社に対して競争力のある物流体制を構築することは、現在の企業活動の中で最も重要な要素の1つです。
企業として、企業グループとして物流効率を高めるためには「全体最適」という視点に基づいた物流戦略・体制などの構築が必要不可欠です。しかし、現実的にうまく起動させることは難易度の高いことでもあります。

次回は、物流の「全体最適」を実現するために、何がネックになるのか、どう進めていったらよいのか。その解決の方向性などについて、お話したいと思います。

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