導入事例:RaAP

コニカミノルタビジネスエキスパート
株式会社 様

「運搬距離を約25%も削減可能」「人やモノの流れを誰が見ても分かる」
RaAPを活用してから提案の説得力が向上。

導入前の課題

  • 経験則やセオリーだけでは、改善活動に手間と時間がかかっていた。
  • おおまかな試算や推測に頼っていた提案の説得力を向上させたかった。
  • Excelで作成したレイアウト図などを利用していたが、人やモノの流れを明確に示すことが難しかった。

導入ポイント・導入効果

  • RaAPは簡単にモデリングできるため、すばやく改善活動を進められるようになった。
  • 物流現場の分析において具体的な数値で提案できるようになり、生産性を向上させた。
  • 現場担当者の要望に対して、翌日までに効果的な提案を返答できるなどフィードバックのスピードが格段に上がった。

導入の背景

改善活動にスピード感を持たせ、経験則やセオリーに頼らない方法を模索

事業推進統括部 生産改革部 生産力強化グループ 課長の朝倉 弘道氏の所属部門では、各事業会社に対して、生産設備や作業プロセスの改善活動、コスト削減などの提案を進めている。これらの活動のベースとなっているのが「IE(Industry Engineering)手法」だ。
一例を挙げると、事業会社の工場に出向いて「誰が」「どの作業を」「どれくらいの時間をかけて実施しているのか」という点を調査する稼働分析がある。作業時間などを計測して定量化を行い、数値をもとに現状分析していく流れだ。
朝倉氏によれば、このような改善活動を進める中で、2つの課題が浮かび上がってきたという。
1つ目は、改善活動のスピードアップだ。生産力強化グループでは、長年培ってきた経験則やセオリーに基づいて、生産現場の課題を分析している。しかし、数値に落とし込む作業に手間と時間がかかっていたため、容易に現状分析できるツールが必要となった。

生産力強化グループ 課長 朝倉 弘道氏

コニカミノルタビジネスエキスパート株式会社
事業推進統括部 生産改革部
生産力強化グループ 課長
朝倉 弘道氏

現状分析で得られたデータに付加価値改善提案の品質向上を狙う

2つ目は、改善策の説得力を向上させること。「事業会社へ改善策を提案する際、当時はおおまかな試算や推測に頼らざるを得ませんでした。そこで、現状分析したデータを深掘りし、提案の質を高められる方法はないかと考えました」と朝倉氏は語る。
特に、事業会社から物流現場の改善を求められた際、これらの課題が顕著に現れたという。
朝倉氏はそれまで、生産現場の改善活動に携わる機会が多かった。生産現場では、生産ラインや製造工程などで比較的、規則正しい運用がなされているため、セオリー通りに現状分析しやすい。一方、物流現場は入庫量が時間ごとに異なるなど、モノの流れる量にバラツキが多く、現状分析に時間がかかってしまうのだ。
そこで朝倉氏はシミュレーションソフトの導入も視野に、物流現場の改善活動を強化しようと検討を始める。
最終的に3社ほどの候補を挙げ、比較表などを作成して分析した。その中には、以前自社で運用した経験のあるソフトウェアも含まれていたという。
「以前運用していたシミュレーションソフトウェアは、モデリングの定義に時間がかかっていました。しかし、“RaAP”はオブジェクトをつなぎ合わせるだけなので、簡単にモデリングできると思いましたね。これによって我々の作業時間が短縮でき、スピード感を持って改善策を出せると確信しました」と「RaAP」導入前の印象について朝倉氏は説明する。

導入から現在の活用まで

効果測定が難しい物流現場で「運搬距離の25%削減」の具体的な提案

2011年4月、シーイーシーが提案した「RaAP」が生産改革部に導入された。 朝倉氏は物流倉庫の改善策として、1日1回としていた出庫回数を増やすことが最善の方法と予測していた。それを裏づけるため、物流倉庫を「RaAP」上で再現。このテンプレートを活用し、仮定に基づくシミュレーションパターンを複数用意した。その後、分析結果の帳票を独自に加工し、現場とスムーズに意思疎通を行うための材料として活用している。
「出庫回数が増えると、それだけピッキングの頻度も多くなってきます。そこで、モノの保管場所をフリーロケーションから固定ロケーションに変更し、作業効率を向上させようと考えました。これまで物流現場では、フリーロケーションの効果測定はさまざまな要素が影響することから、難しいとされてきました。しかし“RaAP”でシミュレーションした結果、“運搬距離が約25%削減できる”という検証結果が導き出せるなど、具体的な数値を示すことができました」と「RaAP」によるシミュレーションの効果を朝倉氏は語る。

RaAPを活用したロケーション検証のサンプル

※上記の動画は、実際のシミュレーションで使われたモデルとは異なります。

人とモノの流れを現場担当者と共有提案時の説得力とスピードが大幅向上

1つ目の課題となっていた改善活動のスピード感について目に見える効果が表れている。現場担当者からのフィードバックに対して、通常であれば、新たな改善策を提案するまでに数日かかっていた。しかし「RaAP」導入後は、現状分析のスピードが向上し、「現場担当者に対して翌日までに返答できるようになりました。これは“RaAP”だからこそ、実現できた効果だと思います」と朝倉氏は笑顔を見せる。

2つ目の改善策の説得力については、3Dシミュレーションモデルが大きな役割を果たしている。現場担当者に改善策を説明する際、以前はExcelで作成したレイアウト図などを利用していたが、人やモノの流れを明確に示すことが難しかった。一方、「RaAP」の3Dシミュレーションモデルを提示したところ「“すごい”という驚きの声が上がりました。現場でどのように人やモノが流れているのか、現場担当者が実際の動きを確認できるため、提案時の説得力が増したという手応えを感じています。また、操作が直感的で分かりやすいため、要望に応じて、ドラッグ&ドロップですぐにレイアウトを変更できる点も気に入っています」と事業推進統括部生産エンジニアリング部 機械技術グループの西川 勝大氏は3Dシミュレーションモデル利用時の効果について説明する。

専務執行役員 鈴木 研司氏

専務執行役員 鈴木 研司氏

今後の展望

生産現場にも「RaAP」を活用ライン生産の改善パターンを比較検討する

今後の展望について朝倉氏は「“RaAP”は本来、製造業に特化したソリューションと聞いています。今回は物流現場の改善活動で運用しましたが、生産現場にも活用の幅を広げていきたい」と意気込みを語る。
具体的には、ある事業会社の生産現場に対して、「RaAP」を活用した改善策を提案する構えだ。この生産現場では現在、生産機種ごとにラインを設けている。そこで朝倉氏は、多品種少量にモノを流す「混流生産」、一人または数人の作業員で全工程を担当する「セル生産」、工程ごとにまとめて生産する「バッチ生産」など複数の改善策を検討し、その中から最適な解を提案も視野に入れている。
「モノづくりの方法は多種多様で、それぞれ一長一短があります。これまではその根拠となる部分を示すのに苦労しましたが、“RaAP”でシミュレーションを行えば、分析後の姿も明確になります。今後、さまざまな角度から比較検討して、生産現場に最も適した改善策を提案していきたい」と朝倉氏の期待は大きい。生産力強化グループの活動はまさに、コニカミノルタグループが実践するモノづくりの中心となるものだ。今後、生産現場で本格的に「RaAP」が活用されることで、製品・サービスの品質がさらに向上し、大きな武器となることは間違いないだろう。

※製品名・企業名・役職名など、記載の情報は取材時のもので、閲覧時には変更されている可能性があります。

設立
2003年10月1日
代表者
代表取締役社長 谷田 清文
本社所在地
東京都八王子市石川町2970
従業員数
903人(連結)
事業内容
コーポレートガバナンス・戦略的管理業務の実行支援定型業務のオペレーション・サポートなど
URL
http://www.konicaminolta.jp/

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