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外観検査とは
外観検査とは
部品や製品の表面(外観)の品質を維持・保証するための検査のことであり、汚れやゆがみ、異物混入などの欠陥がないかを確認します。外観検査には、「全数検査」と「抜き取り検査」の2つがあります。
「全数検査」は生産したものすべてにおいて検査を行います。生産ライン内で行う“インライン検査”で行われることが多く、すべてを検査するため品質を完全に保証することができます。ただし、コストと時間がかかるのが課題です。
「抜き取り検査」は生産した中からランダムにサンプルを抜き取って検査を行います。生産ライン外で行う“オフライン検査”で行われることもあります。全数検査と比較してコストも時間も抑えることが可能です。ただし、不良品が混在する可能性が残ります。
外観検査の手法
外観検査は主に3つの検査方法が存在します。
- 一つ目は「目視検査」です。
- 人の目で検査を実施します。特別な装置などが不要なため、導入しやすく、五感も使うことで柔軟性の高い検査を行うことができます。一方、人が検査を行うため経験や体調によって精度のブレが発生しやすく精度が100%ではありません。
- 二つ目は検査機での「ルールベース検査」です。
- 画像データをもとに人の手で特徴抽出や判定アルゴリズムの設計を行い、作成した判定アルゴリズムを使って検査を実施します。
他の検査方法と比較して検査の処理時間は短いですが、判定アルゴリズムの作成には知識と技術が必要で実施できる人が限られます。また、微細な変更に対しても特徴抽出、判定アルゴリズムの再設計が必要です。 - 三つ目はAIを活用した「AI外観検査(画像検査)」です。
- 画像データをAI学習し、学習結果をもとに検査を実施します。
画像さえあれば特徴量の抽出などせずに検査することができます。ただし、AI学習のために異なる画像を多量に準備する必要があります。また、位置やサイズなど定量的なルールの検出が苦手です。
AI外観検査とは
機械学習の一種であるディープラーニング(深層学習)を利用した高精度の画像検査(画像解析・画像認識)です。画像の特徴をAIに学習させることで頭脳を作成し、作成した頭脳を利用して外観検査を行います。AIを利用することで見落としを防ぎ、より目視に近い判定をAIにて実現可能となります。また、学習を繰り返すことで、ルールベース検査のような人手による特徴量設計をせずに精度を向上することが可能です。
AIの学習方法には「教師あり学習」「教師なし学習」の2つの学習手法があります。
「教師あり学習」は、学習用のデータに正解(何を学習したいのか)を明示した状態で学習させる手法です。NG画像を十分に準備できる場合は「教師なし学習」よりも精度が高い傾向にあります。
例)OK画像、NG画像の両方を学習させる。
「教師なし学習」は、学習用のデータに正解を教えないで学習させる手法です。OK画像のみで学習ができるため、NG画像を準備できない場合に採用されます。
例)OK画像のみ学習させ、学習したもの以外をNGと判定します。
AI外観検査が選ばれる理由
検出精度の安定と向上が可能
精度のブレがなく、学習を重ねれば、より精度を高めることが可能
目視検査
- ・体調、習熟度によって精度のばらつきが発生する
- ・感覚で判断する要素が多く検査基準が曖昧
AI外観検査
- ・一定の検査精度
- ・検査基準が明確
人に依存しない判定が可能
人為的ミスの削減
検査機(ルールベース)
- ・傷や汚れなどの差異が曖昧な欠陥について
過検出が発生しやすい
AI外観検査
- ・より目視に近い柔軟な判定が可能なため、
過検出が減少
目視に近い判定が可能
検査工数の削減
要員、時間の削減が可能
目視検査
- ・検査工数がかかる
- ・検査要員が必要
- ・ノウハウ不足
AI外観検査
- ・瞬時に検査可能
- ・検査要員の削減が可能
- ・教育時間なし
人手不足解消・工数削減
検査機(ルールベース)
- ・設定の登録が煩雑
- ・特徴量の算出が難しい
- ・些細な変更についても設定値の変更が必要
AI外観検査
- ・細かい設定が不要
- ・特徴量の算出不要
- ・設定変更はなく、再学習を実施
細かい設定不要で変更対応も容易
だれでも操作可能
専門知識不要でだれでも操作可能
目視検査
- ・経験値が必要
AI外観検査
- ・経験値不要
現場での操作可能
検査機(ルールベース)
- ・複雑な設定対応が必要
- ・設定変更が複雑で変更できる人が限られる
AI外観検査
- ・簡単な設定
- ・設定変更不要で再学習するのみ
簡単な操作だから継続利用しやすい
AI外観検査のメリット
目視に近い柔軟な判定が、少ない工数でだれでも実現可能
- 人に依存しない判定が可能
人為的ミスの削減・見逃し回避 - 人手不足解消
・工数削減 - 現場での操作可能
- 目視に近い判定が可能
- 細かい設定不要・変更対応も用意
- 簡単な操作だから継続利用しやすい
AI外観検査でできること
不良品判定
画像を良品/不良品に分類することができます。
特徴の分類
不良品画像を分類することができます。
2次検査など、不良品の種類まで知りたい場合におすすめです。
不良品判定と分類
良品/不良品の判定に加えて、良品/不良品内での分類も可能です。
AI外観検査を導入するために
AI外観検査導入の流れ
- 画像準備
- AI学習モデル作成のための画像を準備します。
- AI学習モデルの
作成 - 準備した画像を利用し、AI学習モデル(判定のための頭脳)を作成します。
- 検査実施
- 作成した頭脳を使って検査を行います。
- 精度検証
- 検査結果をもとに精度を検証します。
- 本番導入
- 作成したAI学習モデルを導入します。
導入パターン1
新規導入
AI外観検査を新規に導入します。
新たに外観検査が必要な場合や目視検査の代替として効率、精度向上を目的として導入することで、より少ない工数で安定的な精度で外観検査が可能となります。
導入パターン2
既存検査の2次判定として追加
既存検査にプラスしてAI外観検査を追加します。
すでにルールベースでの検査機を導入済みで、ある程度精度が出ているがより精度を上げたい場合や過検出が多いなどルールベースの外観検査が適用できないもの、ルールの定義が難しい製品、部品について2次判定としてAI外観検査を導入することで精度を向上させることが可能となります。
AI外観検査QA
- AI外観検査が利用可能かどうかの判断基準はありますか?
- 画像で目視できる特徴であれば検査可能です。
- AI外観検査で検査可能なものはどのようなものですか?
- 金属部品、樹脂部品、シート素材、不織布、電子基板など、製品によって得意不得意分野があるため、トライアルをおすすめします。
- 学習モデル作成に必要な画像は何枚ですか?
- 画像は多ければ多いほどよいです。弊社WiseImagingであれば良品・不良品画像が各30枚以上あることが望ましいです。
- 不良品画像が少なくても利用できますか?
- 良品学習での導入が可能です。また、弊社では不良品画像を生成するサービスをご案内しておりますので、一度ご相談ください。
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